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日和見主義者のメモ帳


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2024/05/14(Tue)18:13

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日本に残る闇

2006/08/23(Wed)00:07

 この所、関西で相次いで同和団体関連の事件が表面化している。職業の一部として調査にあたっている性格上、調査継続中の部分についてここで書くことは控えるが、その一端を記したい。

 ある部落解放同盟幹部について調べる過程で、暴力団との接点が出てきた。部落解放同盟と暴力団のつながりは、すでに表面化している解放同盟飛鳥支部の一連の事件でも明らかになっていることだ。今回の幹部は、「八尾のドン」と呼ばれ、公共事業を巡る恐喝容疑で逮捕された某氏。某暴力団組織の顧問的立場にあると言われ、かつては飛鳥支部幹部の運転手を務めていたこともある。同和の看板と暴力団とのつながりを利用して、公共事業を仕切り、同和利権も手中に収めてきた。実際、八尾の公共事業を請け負った業者は、契約額の3%を氏に届けていた。

 調査の過程で、「3%ルール」など一連の経緯を知る人物との接触に成功した。A氏としよう。巨大な自宅に、A氏は1人住まい。かつて、何者かによって火炎瓶が投げ込まれたため、家族を別の場所に避難させているからだ。某氏が逮捕されて間もない昨晩、A氏の自宅の電話に20分もの長いメッセージが残された。電話の主は、暴力団組織の幹部クラス。その人物は20分間、電話機に延々と話し続け、後半では襲撃を暗に仄めかした。

 A氏が狙われるのは、暴力団側が氏を「捜査当局に協力した」と見込んだためだろう。最近、同和組織絡みの不正が相次いで表面化しているものの、部落解放同盟は、いまだにデリケートな組織。不正を掘り起こすためには、確実な情報提供者の存在が欠かせない。しかし、同じ利権を当てにした暴力団側による素早い脅迫行為と、それに続く嫌がらせなどが、告発者を生みにくくしてきた。1人の協力者の希少価値が高すぎたせいか、当局がスパイとして相手組織内で運用してきた人物が、ダブルスパイ化し、情報が捜査対象者に漏れてしまう、という構図もあったようだ。

 断っておくが、こうした同和=利権=暴力団のつながりはすべての同和組織に当てはまるものではなく、被差別部落を代表することによって生まれる利権を私物化する、一部の「同和屋」によって育まれてきたものと筆者は考える。彼らは、差別される側の権利を主張し、反対するものを「差別者」として集団で糾弾する。自治体側は、そうした抗議を恐れて、無意味な事業を「同和対策」の名前で継続して利権を与え続け、暴走を見過ごしてきた。

 全体を見れば、ある時期を過ぎてからの解放同盟の活動は、差別を解消するためではなく、差別を固定化するためにしかならなかったのではないか。否定できないテーゼを持ち出して、反論する者を「人に非ず」と切り捨てる。こうした空気は何も同和組織に限ったものではなく、日本の戦後を振り返れば、至るところに存在する。その「空気」がもっとも肥大化したのが、同和の世界ではなかったか。

 あるアングラ筋によると、飛鳥支部事件の表面化によって、水面下で同和勢力の影響力が格段に落ちたという。一方で、公共事業が減ったとはいえ、まだまだ利権は多く残っている。ある大型プロジェクトの周囲では、同和からこぼれた利権を巡って、さっそく暴力団組織が動き出しているようだ。暴力団の世界でも、稲川会が分裂したり、山口組が関東系勢力を吸収したりと、きなくさい。水面下では、ある意味で一つの戦後が転換しようとしているのかもしれない。

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No.9|現場にてComment(1)Trackback()

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戦後の転換

2006/08/25(Fri)00:39

上述の事件は、分配される権益の総量が小さくなることにより(たとえば上述のような公共事業投資)集団互助組織が変貌を遂げていく、特に強いものが勝つという個人競争のルールが生まれていくことを示唆していると思う。
どこまでも不完全な「フェアなルール」「スタンダード」で割り切れないものを内包した互助組織は変貌を遂げざるをえず、幾人かはさらに閉じた世界へいくか村八分となり、また幾人かは個人同士のつながりによって、新たな互助組織を再構築していくことになるのだろう。
経済学者のジャグディシュ・バグワティは 著書『グローバリゼーションを擁護する』の中で、「アメリカから見るとそういった関係性はアジアは”クロニー(縁故)”経済だと批判しているが、アメリカ人同士だと”フレンズ”となる」と指摘していた事を思い出した。

No.1|by なし|URLMailEdit

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